猿が見つけた温泉
猿が見つけた温泉
日本の温泉には動物や鳥などが傷をいやすのを見て発見された温泉がたくさんあります。
今回は「猿」編です。
夏油温泉(げとうおんせん)
岩手県北上市
平家の落人の末裔であるマタギの高橋四郎左ェ門が、傷ついた白猿を追ったところ、大湯でいやしている姿を見て発見したという伝説が伝えられています。
また、昔源頼光の四天王のうちの一人渡辺綱に片腕を切り落とされた鬼が計略を用いてその腕を取り返し、夏油の湯でその腕をつないだという伝説も残っています。
鉛温泉(なまりおんせん)
岩手県花巻市
今から600年程前、鉛温泉藤三旅館の先祖が高倉山麓でキコリをしている時に、岩窟から出てきた1匹の白猿が、カツラの木の根元から湧出する泉で手足の傷を癒しているのを見て、これが温泉の湧出であることを知り、1443年頃に仮小屋を建て、一族が天然風呂として開いたと伝えられています。
平湯温泉(ひらゆおんせん)
岐阜県高山市
戦国時代武田信玄が飛騨に攻め込んだとき、安房峠越えで兵士が疲れ切っていた時、老猿が湯だまりで傷を癒しているのを見て、これが平湯温泉発見の由来と云われております。
俵山温泉(たわらやまおんせん)
山口県長門市
延喜16年(916年)この辺に一匹の白い猿がいました。それを見た一人の猟師がくる日もくる日もその猿を追い詰め、ついにある日、川で傷を洗っている猿を射止めました。するとたちまち白い猿は消え、紫色の光に包まれた雲に乗り、奥山へと向かう薬師如来の姿があったそうです。そして薬師如来の化身の跡には温かい湯が湧き出たということです。