温泉療法は、古来より湯治として親しまれてきました。温泉療法.comでは温泉治療の効能や各種病気に効能のある湯治場を紹介いたします。

泉質別身体への影響

温泉の泉質別の身体への影響

温泉療法では、大きく3つの作用

1.温泉水の物理的作用、化学的作用、温熱作用
2.水中・陸上での運動・リハビリテーション
3.温泉地の気候・景観による転地効果

により、身体の自律神経系、内分泌系、免疫系など生体調整作用を高め、諸機能を正常化し、健康増進につなげていきます。

このページでは「温泉水の泉質別化学的効果効能」について取り上げます。

療養泉の身体への化学的作用(効能)

温泉の化学成分は、主に皮膚と肺(呼吸)を通して吸収されます。
取り込まれた成分は、そのままの形で人体に作用することもあれば、体内で有効成分に合成されることもあります。

皮膚や肺から吸収されやすい成分としては、二酸化炭素、温泉のにおいの元である硫化水素、放射性物質のラドン・トロンなど脂に溶けやすい気体成分があげられます。
また、脂に溶けやすい鉄やヨウ素も体表面の皮脂腺から滲入します。
一方、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオンは上記の成分ほどには吸収されません。

これらの成分は、皮膚のすぐ下にある結合組織に入り込みます。
血管から滲み出した栄養分を細胞に届ける結合組織は全身につながる唯一の組織で、温泉成分はここを刺激して血管造成作用や免疫機能を高めています。

では、実際に療養泉(温泉のうち、温度、含有成分の質・量などから「医療効果が期待できるもの」 で9種類ある)における化学的な効能についてみてみましょう。

単純温泉

温泉水中の溶存物質量(ガス状のものを除く)が1㎏中に1000mgに満たないが、泉温が25℃以上のもの。
「温泉法」で定められた特定成分が基準値に達していないものの、様々な微量成分が含まれていてすべて同じ組成というわけではない。

効能としては、
主に温熱効果により神経痛、関節痛、腰痛のほかにも傷や運動器障害に効果がある。
含有成分が薄く刺激が少ないので、手術後や脳卒中、高血圧症、動脈硬化症などの回復期における保養やリハビリに適している。

代表的な温泉としては、
鬼怒川温泉(栃木県)、箱根塔ノ沢温泉(神奈川県)、修善寺温泉(静岡県)、下呂温泉(岐阜県)、道後温泉(愛媛県)、湯布院温泉(大分県)などがある。

食塩泉(塩化物泉)

温泉水中の溶存物質量(ガス状のものを除く)が1㎏中に1000mg以上あり、陰イオンは塩素イオン、陽イオンはナトリウムイオンが主成分で、結合すると食塩を形成するもの。

効能としては、
毛穴を塩分がふさぎ、汗の蒸発をふせぐため保温効果が大きく、昔から「熱の湯」と呼ばれてきた。
特に冷え性の女性には喜ばれ、神経痛、関節痛、切り傷、打ち身、火傷、慢性皮膚炎、慢性婦人病などに適している。
飲用では胃腸病、便秘に、吸入で慢性気管支炎、咽喉炎などに効果がある。

代表的な温泉としては、
定山渓温泉(北海道)、熱海温泉(静岡県)、白浜温泉(和歌山県)、城崎温泉(兵庫県)、黒川温泉(熊本県)などがある。

重炭酸土類泉・重層泉(炭酸水素塩泉)

重炭酸土類泉は温泉水中の溶存物質量(ガス状のものを除く)が1㎏中に1000mg以上あり、陰イオンはヒドロキシ炭酸イオン、陽イオンはカルシウムマグネシウムが主成分で、結合するとそれぞれ重炭酸カルシウム、重炭酸マグネシウムを形成するもの。
重層泉は温泉水中の溶存物質量(ガス状のものを除く)が1㎏中に1000mg以上あり、陰イオンはヒドロキシ炭酸イオン、陽イオンは80%以上がナトリウムで、結合すると重炭酸ナトリウムを形成するもの。

効能としては、
重炭酸土類泉は鎮静効果があるため、じんましん、アレルギー性疾患や慢性皮膚病などに効果がある。飲用では利尿作用があるので、尿酸の排泄を促すので痛風、尿路結石などに効果的である。
重層泉は、皮膚表面の脂肪分や分泌物を乳化する作用があるため、美肌の湯として知られている。飲用では胃腸病、糖尿病、胆石、初期の肝臓疾患などにも効果があるとされている。

代表的な温泉としては、東鳴子温泉(宮城県)、肘折温泉(山形県)、小谷温泉(長野県)、奈良田温泉(山梨県)、十津川温泉郷(奈良県)、嬉野温泉(佐賀県)、妙見温泉(鹿児島県)などがある。

硫酸塩泉

温泉水中の溶存物質量(ガス状のものを除く)が1㎏中に1000mg以上あり、陰イオンとして硫酸イオンが主成分のもの。
代表的な硫酸塩泉として、主な陽イオンの種類により
・芒硝泉(ナトリウム-硫酸塩泉)
・石膏泉(カルシウム-硫酸塩泉)
・正苦味泉(マグネシウム-硫酸塩泉)
などに分けられる。

効能としては、
食塩泉同様に保温効果が高いので、効能が高いといわれる温泉が多い。
芒硝泉は高血圧症、動脈硬化症、外傷に、飲用では便秘、糖尿病、痛風に有効。
石膏泉は昔から「傷の湯」「中風の湯」と呼ばれていたように外傷、火傷、痔疾、慢性関節痛、慢性皮膚病に、飲用では便秘、糖尿病、痛風に有効。
正苦味泉はごく希少な温泉で、降血圧作用があるため、高血圧症や動脈硬化症、脳卒中に効果があるとされる。

代表的な温泉としては、
銀山温泉(山形県)、法師温泉(群馬県)、四万温泉(群馬県)、箱根仙石原温泉(神奈川県)、山中温泉(石川県)、山代温泉(石川県)、岩井温泉(鳥取県)、玉造温泉(島根県)などがある。

炭酸泉(二酸化炭素泉)

温泉水1㎏中に遊離二酸化炭素を1000mg以上有するもの。
ヨーロッパに多い泉質だが、活火山が多い日本では泉温が高いためガス成分が揮発しやすく、炭酸泉は希少である。

効能としては、
炭酸ガスが皮膚から吸収され、毛細血管を拡張させるため、血圧を下げたり血流を促進させるので、特に高血圧症や心臓病のほか、糖尿病、肝臓病などに効果があるとされる。
飲用では胃腸病、痛風、便秘などに効果的。

代表的な温泉としては、
入之波温泉(奈良県)、小屋原温泉(島根県)、長湯温泉(大分県)などがある。

鉄泉・緑ばん泉

温泉水1㎏中に総鉄イオン(二価鉄、三価鉄イオン)を20mg以上含むもの。
主たる陰イオンが炭酸水素イオンの場合は炭酸鉄泉、硫酸イオンの場合は緑ばん泉に分類される。

効能としては、
関節痛、皮膚病、慢性湿疹、更年期障害、水虫などに適する。飲用では貧血症に効果的。

代表的な温泉としては、
恵山温泉(北海道)、黄金崎不老不死温泉(青森県)、鳴子温泉(宮城県)、不動湯温泉(福島県)、伊香保温泉(群馬県)、有馬温泉(兵庫県)、栗野岳温泉(鹿児島県)などがある。

硫黄泉

温泉水1㎏中に総硫黄を2mg以上含むもの。
遊離の炭酸ガスや硫化水素を含まない単純硫黄泉と硫化水素泉の2種類がある。

効能としては、
硫黄泉は万病に効くといわれてきたように、広範な効能が知られています。
抹消毛細血管を拡張する作用があるので、高血圧症、動脈硬化症、心臓病などに効果がある。
硫化水素ガスは「たんの湯」と言われ、たんを出しやすくするので喘息に特によく効きます。また、硫化水素は、解毒作用が強いので、入浴、飲用によって金属中毒、薬物中毒に、殺菌作用によって湿疹、疥癬など慢性皮膚病に効くとされている。飲用では血糖値を下げる効果も期待できる。

代表的な温泉としては、
登別温泉(北海道)、嶽温泉(青森県)、乳頭温泉郷(秋田県)、高湯温泉(福島県)、奥塩原温泉郷(栃木県)、野沢温泉(長野県)、別所温泉(長野県)、白骨温泉(長野県)、雲仙温泉(長崎県)などがあります。

酸性泉・酸性硫黄泉

温泉水1㎏中に水素イオンを1mg以上含むもの。
硫化水素、明ばん、緑ばんを含有していることが多く、酸性硫化水素泉、酸性明ばん泉、酸性緑ばん泉などと呼ばれる。

効能としては、
殺菌作用に優れているので、水虫、湿疹、疥癬などの慢性皮膚病に効果的。
飲用で慢性消化器病にも効く。
酸性の刺激を利用して、草津温泉の「時間浴」のように、頑固な慢性病を治療するのにも利用されている。

代表的な温泉としては、
川湯温泉(北海道)、酸ヶ湯温泉(青森県)、玉川温泉(秋田県)、須川温泉(岩手県)、蔵王温泉(山形県)、岳温泉(福島県)、那須湯本温泉(栃木県)、草津温泉(群馬県)、万座温泉(群馬県)、別府明ばん温泉(大分県)などがある。

ラジウム・ラドン泉(放射能泉)

温泉水1㎏中に3ナノキュリー(8.25マッヘ、111ベクレル)以上のラドンを含むもの。
放射能(放射線)というと日本人はどうしても敏感になりがちだが、自然のごく微量の放射線はむしろ人の免疫力を高めてくれるともいわれる(放射線ホルミシス効果)。
ラドンは浴用、飲用とも呼気によって体外に排出されるので心配はいらない。

効能としては、
昔から「万病に効く」と言われ、特に「痛風の湯」として知られる。
利尿効果が高いため、痛風、糖尿病、尿路の慢性炎症などに効果的とされる。
また、鎮静作用があり、自律神経のバランスを整える。
血圧降下作用もあるといわれる。

代表的な温泉としては、
栃尾又温泉(新潟県)、村杉温泉(新潟県)、増冨温泉(山梨県)、三朝温泉(鳥取県)、関金温泉(鳥取県)などがある。

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